2015年10月7日水曜日

発売間近・NHORHM

 この秋に発売される参加CD、2枚とも超お勧めです。
 本記事はその①「NHORHM」、ピアニスト西山瞳さんの「メタル・カヴァー・プロジェクト」です。



 名前の由来はメンバー西山瞳・織原良次(fl-b)・橋本学(ds)のイニシャルを並べてかつ、「New Heritage Of Real Heavy Metal」とのダブル・ミーニングになっています。それがたまたま「NWOBHM = New Wave Of British Heavy Metal」のパロディになってしまい、中高生時代にリズム&ドラムマガジンでよくNWOBHMの文字を見かけていた自分は、命名の知らせを聞いて懐かしくて爆笑してしまいました。

 各曲について、ネタバレにならない程度に、主にドラム演奏について記します。

1. In the Dead of Night イン・ザ・デッド・オブ・ナイト / U.K.
…UKといえばホールズワース・ブラフォード・ボジオ。シュールで頭脳派なイギリスのプログレ名手達へのオマージュを自分なりに演奏に込めました。

2. Walk ウォーク / Pantera

…パンテラほとんど知らないんですが、この曲のキーワードは「バカドラム」。バカ以上の事はできないという設定で臨みました。

3. Man On the Silver Mountain マン・オン・ザ・シルバー・マウンテン(銀嶺の覇者) / Rainbow

…ネタバレ防止と時代背景から「カラムーチョ・ジャズ・ドラミング」と言っときます。半スティックタイプです。ドラムソロではイチかバチかの奇跡の譜割りに成功し、解析採譜再現不可能ですすんません。

4. Skin O’ My Teethスキン・オー・マイ・ティース / Megadeth

…また違う種類の「バカドラムB」です。のっけからぶちかましてくれと言われてその通りやりました。フルショットで高速竹割タムおろし。

5. Fear of the Dark フィア・オブ・ザ・ダーク / Iron Maiden

…メタル・カヴァーなのに○○○を使った俺さすが!

6. Upper Levels アッパー・レヴェルズ / ANGRA 

…まるで文化祭の準備のようにスタジオで練習を重ねた長編難曲。頑張った!!20年目の文化祭。

7. 悪夢の輪舞曲 / BABYMETAL

…こういうアレンジが一番打楽器センスが問われます。ウエンブリーというとLevel 42が出てきてしまうフュージョン野郎です。

8. Demon's Eye デーモンズ・アイ / Deep Purple

…俺がむかし夕焼けだった頃~シャバダシャバダ~。

9. The Halfway to Babylon ザ・ハーフウェイ・トゥ・バビロン / 西山瞳

…もしもし母さん?オレ事故って500万必要なんだよ!

10. Green-Tinted Sixties Mind グリーンティンテッド・シックスティズ・マインド / Mr.BIG

…唯一リアルタイムでコピーバンドやった曲。一緒にやっていたベーシストが電気屋の息子。ライブ当日に店の備品の電動ドリル+割り箸+ピックでドリル奏法やろうとしたらリハで割り箸が折れるという良き思い出。ちなみに、曲の冒頭は笑っていいところなので笑って下さい。

 個人的な方針としては、西山さんのアレンジが練られていてあまりにも秀逸なため、そのアレンジをいかに面白くするかという事しか考えませんでした。1曲の中に色々な要素を盛り込む事はせず、敢えて焦点を絞り、しかるべきキャラを演じる。つまり10通りのアレンジがあるために10人分のキャラを使い分け演じ切りました。

 ではお前は一体何だと言われると、10人前のキャラの性格通りにドラミングを細かくコントロールできるのが強いて言えば自分の真骨頂ですね。擬態する時としない時とがあるカメレオンみたいな。この曲はまあまあ擬態とか。それとジャズならインプロヴァイズしなきゃ!という思いも全くなくて、あくまで楽曲アレンジが全て。曲によってはほぼ即興なし、ドラムスコアが頭の中で完成されてから録音した物もありました。このユニークな試みの中でただただ極端に演じる事がとても楽しかったです。

 もちろん、メタルを全く知らない方にも絶対に楽しめるように作ってあります。何しろこれに参加するまで自分はメタルには疎かった方ですし。同世代メンバーによる時代背景の特定を狙いながら、それぞれの個人的バックボーンが違うため、うまく三層の独自の音楽ができたように感じます。

 織原良次とのコンビは10数年に渡り数々のバンドでステージ・録音を共にしてきましたが、「こんな引き出しもあったのか!」と、ここに来て新たな可能性を感じました。ベース・ドラム内での自由度と柔軟性が大きな特徴ですが、それを西山さんがアレンジと演奏でしっかり受け止めて面白がってくれているトリオです。

 普段自分は、ジャンルの境界などは本来なくて、出生の異なった音楽同士がグラデュエーションで繋がっているだけだとの音楽観に基づいて、その中間色ゾーンでうろうろする活動をしています。今回「ジャズ」と「メタル」という距離感のある出生同士を架け橋するという事で、ジャズファン・メタルファンそれぞれに長い距離の中間色ゾーンの旅を楽しんで下さればと思います。

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                      各界著名人からのコメント

 Amazing approach to Angra’s song
The original song is greatly influenced by latin fusion and it’s cool to listen to it in this Latin jazz format. 
Excellent arrangement.


KIKO LOUREIRO (ANGRA/MEGADETH) -

 NHORHMを聴いて、ヘビメタってこんなにお洒落になるって驚きました!とても素敵なアレンジばっかりです。メタラーの僕はずうと「ジャズの演奏者はメタルを音楽として認めてくれない」と思ったけど、このケースではメタルにたいしての熱心と尊敬が伝わって来た。そして伴奏のメロディセンスは原曲より面白いと思います!!マジで(笑) 


マーティ・フリードマン(ギタリスト) -


 ヘヴィメタルのカヴァーらしいけどな、オレはハシモトのこたぁよく知ってんだぜ。なんたってブラザーだからな。メガデスだろうがパンテラだろうが、ヤツは結局ハートはファンクドラマーなのさ。1拍目にハイハットオープンをヒットしてるだろ?
ラストチューンがマイベストだ。サックスが最高にファンキーでクールだ。メイシオ・パーカーもブルーフェイスだぜ!ネクストレコーディングはファンク・カヴァーをやってオレを雇ってくれよな。もうサイドビジネスはウンザリだ!

-Dr.M (ドラマー、インタビュアー、カプセルホテル使用人)-




 マン・オン・ザ・シルバー・マウンテンとは私の事だ。日本語訳が銀嶺となっているが誤訳で、あれは「銀座」だ。君たちには馴染みがないだろうが、山は1座・2座と数えるのだ。銀座…それは猛吹雪の中でピッケルとヘッドランプを無くし、数々の登山家を飲み込んだ「松坂屋南西壁」に3日3晩ビバークしたあげく気がついたら「ツキジケイサツショ・ベースキャンプ」に救助されていたという苦い経験をした。登山SNS「ヤマレコ」に記録をアップしても拍手が2つしか付かなかったのも、また苦い経験だ。しかし、誰かが私の記録に注目して歌にしてくれたのだろう。


-84mo10【はしもと】(登山家)-

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